もうひとつの世界で
物心ついた頃から絵を描いてきた
もちろん素人絵ではあるけど、お金になるならないという点は別問題として、絵を描く事は自分のアイデンティティでもある
他の人が言葉や音楽や、色んな手段で表現するように自分は絵を描く事が当たり前だったんだけど、あの震災の後、少し意識が変わった
誰かのために描く、っていう部分をそれまでより強く意識するようになった
自分の絵なんかでも、誰かの力になるのかな、と
それでも、そもそも意思を明確に言葉で認識する事が下手だったので(だから絵に託してるってのもある)漠然とした部分はあったんだけど
三年ほど前
コマさんに会いたがっていた健さんが、私が描いた健さんとコマさんの絵を見つけてくれた時に
「絵の中で会えた」
みたいな事をコラムで書いてたのを見て、
ああそうか、絵って、ここではない別の世界も創り出せるんだと
絵の中なら、会いたい人にも会える
元気に走り回ったりもできる
空飛ぶ事だってできるんだなと
最近、私の絵を気に入ってくれてる小さな子が、「この中に入りたいな」って言ってたと聞いた時にめちゃくちゃ感動しちゃって、
「絵に描いて欲しい」とかじゃなくて、
「この中に入りたい」なんですよ。
健さんと同じ感じ方してくれたんだな
世界が他にもあるなら、
もうひとつの世界を創れるなら、
そこでは子どもにかえって、元気に、やんちゃに遊び回ってくれてたらいいな